潰瘍性大腸炎と「ヒュミラ」(アダリムマブ)

炎症を強力に鎮めるパワーを持つ、ヒュミラ(アダリムマブ)

「ヒュミラ」は、レミケードと同じく、TNFαという炎症反応に関与する生体内物質の働きを抗体によって抑える抗体製剤です。

 

ヒュミラは中等症又は重症の潰瘍性大腸炎に対して唯一自己注射可能な、皮下注射型の生物学的製剤です。

 

「ヒュミラ」は、関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)、尋常性乾癬、関節症性乾癬、強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎、クローン病、腸管型ベーチェット病、潰瘍性大腸炎の8つの疾患に効能・効果を有するとされています。

 

ヒュミラが炎症を鎮めるしくみ

 

炎症が起こるためには、炎症を引き起こすためのシグナルが必要になります。

 

炎症を引き起こすためのシグナルをTNF-αと呼びます。

 

免疫系が過剰に反応すると、TNF-αが大量に放出されます。
(例えば、潰瘍性大腸炎であれば腸内でTNF-αが過剰に放出されるようになります。)

 

 

アダリムマブ(ヒュミラ)は抗体であり、TNF-αに結合することでその機能を無くす働きがあります。

 

アダリムマブ(ヒュミラ)につかまえられた「TNF-α」は炎症を引き起こすための受容体に結合することができなくなるため、炎症のシグナルが伝わらなくなります。

 

 

また、アダリムマブ(ヒュミラ)は「TNF-αを分泌する細胞」に対しても作用することでTNF-αの産生を抑え、さらには細胞を破壊する働きまであります。

 

つまり、ヒュミラ(アダリムマブ)によってTNF-αを作る細胞を細胞死へと導きます

 

これによっても免疫の働きを抑えることで炎症を鎮めることができます

 

(「TNFは体内で傷ついた細胞を排除し(殺し)新しい細胞に置き換えるという体細胞循環を断つので、傷ついた機能しない細胞が増えることになり、機能しなくなった細胞が神経細胞や肺の細胞など重要臓器に蓄積すると、人を死に至らしめる重篤な病気を生むことにもつながります。それほど危険な薬剤だということを意識して使う必要があります。 」と指摘している医師もいます。)

 

 

2008年に国内で承認されたヒュミラ(アダリムマブ)

 

米国で2002年に、国内では2008年に承認され、 世界80カ国で約37万人の患者さんに投与されています。

 

「レミケード」は点滴で投与されますが、「ヒュミラ」は皮下注射です。

 

また、一定の条件を満たしたら、在宅自己注射が可能です。

 

2週に1回の投与で済むため、投与方法が簡便であるという特徴があります。

 

「レミケード」と違って、完全ヒト型抗体(マウスなどの異種タンパクを含まない)のため、アナフィラキシーなどのアレルギー反応が起こりにくいとされます。また、中和抗体(ヒュミラに対する抗体)が出来にくいとされ、リウマトレックスの併用は必須ではありません。

 

けれども、他の生物学的製剤と同様にリウマトレックスを併用したほうが有効性が高まると報告されており、また実際には日本人では中和抗体(ヒュミラに対する抗体)が少なからず出現することも報告されているため、可能であれば一定量以上のリウマトレックスの併用を勧められます。

 

 

 

 

 

「ヒュミラ」の値段!

ヒュミラの治療には、一回約7万円かかります。

 

(ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mLの薬価が65144.00円です。
これプラス、診療代や他の薬代が必要です。)

 

 

2週間に一回投与されますので、一ヶ月あたり14万円ほどかかります。

 

3割負担ですと、月4万ほどの薬代がかかります。

 

指定難病の認定がおりると、2割負担か、自己負担上限額のいずれか金額の低い方を医療費として支払い、それ以外は公費で助成されることになりますが、それにしても、薬代が高いですね・・。

 

新薬開発するのに150億から200億円かかるという話もありますから、仕方がないのでしょうか・・

 

さて、ヒュミラを使うことで、症状が劇的に良くなることもありますが、もちろんその分、副作用もあります。

 

 

 

「ヒュミラ」を用いた大規模臨床試験では、投与によって「臨床的寛解」、「関節破壊の進行がない」、「身体機能の正常化」という3つの評価項目全てを満たす「完全寛解」の可能性が高まることが証明されています。

 

けれども、ヒュミラもまた、免疫抑制剤でありますので、免疫の働きを低下させ、感染症にかかりやすくなったり、がんになりやすくなったりします。

 

ヒュミラの副作用、注意事項など。添付文書より

ヒュミラの副作用、注意事項をまとめます。
情報はヒュミラの添付文書より

 

【警告】

 

結核,肺炎,敗血症を含む重篤な感染症及び脱髄疾患の新たな発生もしくは悪化等が報告悪性腫瘍の発現の可能性 結核,肺炎,敗血症を含む重篤な感染症及び脱髄疾患の新たな発生もしくは悪化等が報告されており,本剤との関連性は明らかではないが,悪性腫瘍の発現も報告されている.本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め,これらの情報を患者に十分説明し,患者が理解したことを確認した上で,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.また,本剤の投与において,重篤な副作用により,致命的な経過をたどることがあるので,緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師の管理指導のもとで使用し,本剤投与後に副作用が発現した場合には,主治医に連絡するよう患者に注意を与えること.
感染症 重篤な感染症敗血症,肺炎,真菌感染症を含む日和見感染症等の致命的な感染症が報告されているため,十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること.結核播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(胸膜,リンパ節等)を含む結核が発症し,死亡例も認められている.結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため,本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え,インターフェロン-γ 遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い,適宜胸部CT検査等を行うことにより,結核感染の有無を確認すること.また,結核の既感染者には,抗結核薬の投与をした上で,本剤を投与すること.ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において,投与後活動性結核が認められた例も報告されている.
脱髄疾患(多発性硬化症等) 脱髄疾患(多発性硬化症等)の臨床症状・画像診断上の新たな発生もしくは悪化が,本剤を含む抗TNF製剤でみられたとの報告がある.脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者には投与しないこととし,脱髄疾患を疑う患者や家族歴を有する患者に投与する場合には,適宜画像診断等の検査を実施するなど,十分な観察を行うこと.
クローン病 クローン病では,本剤の治療を行う前に,栄養療法,ステロイド,免疫調節剤等の使用を十分勘案すること.また,本剤についての十分な知識とクローン病治療の経験をもつ医師が使用し,自己投与の場合もその管理指導のもとで使用すること.
潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎では,本剤の治療を行う前に,ステロイド又は免疫調節剤等の使用を十分勘案すること.

 

また,本剤についての十分な知識と潰瘍性大腸炎治療の経験をもつ医師が使用し,自己投与の場合もその管理指導のもとで使用すること.

 

 

★結核,肺炎,敗血症を含む重篤な感染症及び脱髄疾患の新たな発生もしくは悪化、悪性腫瘍の発現も報告されているのですね。

 

★結核での死亡例もあるとのことで、免疫力を抑制するかわりに、感染症にかかりやすいのですね。

 

【禁忌】【次の患者には使用しないこと!)

 

重篤な感染症(敗血症等)の患者 症状を悪化させるおそれがある.
活動性結核の患者 症状を悪化させるおそれがある.
ヒュミラの成分に対し過敏症の既往歴のある患者 症状の再燃及び悪化のおそれがある
脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者 症状の再燃及び悪化のおそれがある
うっ血性心不全の患者 症状を悪化させるおそれがある.

 

【使用上の注意(クローン病&潰瘍性大腸炎)】

 

クローン病 過去の治療において,栄養療法,他の薬物療法(5-アミノサリチル酸製剤,ステロイド,アザチオプリン等)等による適切な治療を行っても,疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること.なお,寛解維持投与は漫然と行わず経過を観察しながら行うこと.
潰瘍性大腸炎 過去の治療において,他の薬物療法(ステロイド,アザチオプリン等)等による適切な治療を行っても,疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること.ただし,本剤よりも先に他の抗TNF製剤による治療を考慮すること[国内臨床試験において主要評価項目の1 つである投与8 週時の寛解率ではプラセボ群との差は認められていない(「臨床成績」の項参照)]. 寛解維持効果は確認されていないため,漫然と投与しないこと.

 

【慎重投与】(慎重に、注意深く投与しなければならない人)

 

感染症の患者又は感染症が疑われる患者 ヒュミラは免疫反応を減弱する作用を有し,正常な免疫応答に影響を与える可能性があるので,適切な処置と十分な観察が必要である。
結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部X 線上結核治癒所見のある患者) 結核を活動化させるおそれがあるので,胸部X線検査等を定期的に行うなど,結核症状の発現に十分注意すること
脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者及び家族歴のある患者 脱髄疾患発現のおそれがあるため,適宜画像診断等の検査を実施し,十分注意すること
重篤な血液疾患(汎血球減少,再生不良性貧血等)の患者又はその既往歴のある患者 血液疾患が悪化するおそれがある
間質性肺炎の既往歴のある患者 間質性肺炎が増悪又は再発することがある
高齢者

高齢者において重篤な有害事象の発現率の上昇が認められている.

 

また,一般に高齢者では生理機能(免疫機能等)が低下しているので,十分な観察を行い,感染症等の副作用の発現に留意すること.

小児等

4 歳未満の幼児等に対する安全性は確立していない(. 使用経験がない.)

 

若年性特発性関節炎以外小児等に対する安全性は確立していない(. 使用経験がない.)

妊婦,産婦,授乳婦等

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,使用上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない].

 

ヒュミラは胎盤通過性があるとの報告がある.

 

従って,本剤の投与を受けた患者からの出生児においては,感染のリスクが高まる可能性があるため,生ワクチンを投与する際には注意が必要である.

 

授乳中の投与に関する安全性は確立していない.授乳中の婦人には授乳を中止させること[ヒュミラのヒト乳汁への移行は不明である.他の抗TNF製剤では動物実験で乳汁への移行が報告されている].

 

【飲み合わせに注意が必要な薬】(相互作用)

 

メトトレキサート・・ヒュミラのクリアランス(腎臓などによる排泄能力の大きさ)が低下するおそれがあります。

 

【副作用】

 

ヒュミラの、潰瘍性大腸炎の国内臨床試験における副作用の発現状況です。

潰瘍性大腸炎及び非感染性ぶどう膜炎の臨床試験において,
日本人安全性評価対象1,298例中1,076例(82.9%)に副作用が認められました。

 

その主なものは,

 

鼻咽頭炎389例(30.0%),注射部位紅斑126例(9.7%),
注射部位反応111例(8.6%),発疹98例(7.6%),
上気道感染83例(6.4%)等でした。

 

【重大な副作用】

 

@敗血症(0.3%),肺炎(2.8%)等の重篤な感染症 敗血症,肺炎等の重篤な感染症(細菌,真菌(ニューモシスティス等),ウイルス等の日和見感染によるもの)があらわれることがあるので,治療中は十分に観察を行い,異常が認められた場合には投与を中止する等の適切な処置を行うこと.なお,感染症により死亡に至った症例が報告されている
A結核(0.3%) 結核(0.3%):結核(肺外結核(胸膜,リンパ節等),播種性結核を含む)があらわれることがある.ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において,投与後活動性結核があらわれることもある.結核の既感染者では,症状が顕在化するおそれがあるため,投与開始前に,結核菌感染の診断を行い,抗結核薬を投与すること.結核の既感染者には,問診及び胸部X線検査等を定期的に行うことにより,結核症状の発現に十分に注意すること.また,肺外結核(胸膜,リンパ節等)もあらわれることがあることから,その可能性も十分考慮した観察を行うこと.異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
Bループス様症候群(0.1%) ループス様症候群があらわれることがある.このような場合には,投与を中止すること.
C脱髄疾患(頻度不明) 脱髄疾患(多発性硬化症,視神経炎,横断性脊髄炎,ギラン・バレー症候群等)の新たな発生もしくは悪化があらわれることがある.異常が認められた場合には,投与を中止する等の適切な処置を行うこと.
D重篤なアレルギー反応(頻度不明) アナフィラキシー等の重篤なアレルギー反応があらわれることがある.十分に観察を行い,このような反応が認められた場合には速やかに投与を中止し,適切な処置を行うこと.
E重篤な血液障害(汎血球減少症,血小板減少症,白血球減少症,顆粒球減少症)(頻度不明) 再生不良性貧血を含む汎血球減少症,血球減少症(血小板減少症,白血球減少症,顆粒球減少症等)があらわれることがある.異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
F間質性肺炎(0.7%) 肺線維症を含む間質性肺炎があらわれることがあるので,発熱,咳嗽,呼吸困難等の呼吸器症状に十分注意し,異常が認められた場合には,速やかに胸部X線検査,胸部CT検査及び血液ガス検査等を実施し,ヒュミラ投与を中止するとともにニューモシスティス肺炎と鑑別診断(β-D-グルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと.なお,間質性肺炎の既往歴のある患者には,定期的に問診を行うなど,注意すること.
G劇症肝炎,肝機能障害,黄疸,肝不全(頻度不明)

劇症肝炎,著しいAST(GOT),ALT(GPT)等の上昇を伴う肝機能障害,黄疸,肝不全があらわれることがあるので,十分に観察を行い,異常が認められた場合には投与を中止する等の適切な処置を行うこと.
なお,これらの中にはB型肝炎ウイルスの再活性化によるものが含まれていた.

 

★ヒュミラの臨床試験は,国内で299週間(5年と9ヶ月くらい)まで,海外では13年間までの期間で実施されており,これらの期間を超えた長期投与時の安全性は確立されていません.