潰瘍性大腸炎と「プログラフ」(商品名:タクロリムス)

免疫の働きを抑制する「プログラフ」(商品名:タクロリムス)

国内で開発された、新しいタイプの免疫抑制薬です。

 

同じ免疫抑制剤であるシクロスポリンよりも、約100倍強い作用を示す薬として創出された薬がプログラフ(タクロリムス・グラセプター)です。

 

この薬は、免疫の働きを抑制する「免疫抑制薬」で、免疫を担当するリンパ球の働きを強力に抑制する作用があります。

 

筑波山麓の土壌で見つかった放線菌の代謝産物からつくられています。カルシニューリン阻害薬と呼ばれ、免疫系のリンパ球に特異的に作用します。他系統に比べて、骨髄抑制にともなう血液障害が起こりにくいという特徴があります。

 

動物実験で催奇形作用が報告されています。妊娠中は使用できません。

 

【服用に注意が必要な人】

肝障害のある人 薬物代謝能が低下し、プログラフの血中濃度が上昇する可能性があります。
腎障害のある人 腎障害が悪化する可能性があります。
高齢者 高齢者では、一般的に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下しているので、慎重に投与することとされています。高齢の関節リウマチ患者では、低用量(1日1回1.5mg)から投与を開始すること。
感染症のある人 感染症が悪化する可能性があります
関節リウマチに間質性肺炎を合併している人 間質性肺炎が悪化する可能性があります。
妊婦、産婦、授乳婦 妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこととされています。(動物実験(ウサギ)で催奇形作用、胎児毒性が報告されています)。授乳中の女性は、プログラフ服用中は、授乳を避けさけます。(母乳中へ移行すると報告されています。)
小児等

骨髄移植及び腎移植では、低出生体重児、新生児、乳児、幼児に対する安全性は確立していません。(使用経験が少ない。)

 

心移植、肺移植、膵移植、小腸移植、重症筋無力症、関節リウマチ、ループス腎炎、潰瘍性大腸炎及び多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎では小児等に対する安全性は確立していない。(心移植、肺移植、膵移植、小腸移植及び重症筋無力症では使用経験が少なく、関節リウマチ、ループス腎炎、潰瘍性大腸炎及び多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎では使用経験がない。)

 

【重要!注意すること】

@腎障害の発現頻度が高い 腎障害の発現頻度が高いので、頻回に臨床検査を行い、状態を十分に観察することが大切です。特に投与初期にはその発現に十分注意すること。なお、関節リウマチ患者では、少数例ながら非ステロイド性抗炎症剤を2剤以上併用した症例でクレアチニン上昇発現率が高かったので注意すること。また、ループス腎炎患者では病態の進行による腎障害の悪化もみられるので特に注意すること。
A高カリウム血症が発現することがある 高カリウム血症が発現することがあるので、頻回に血清カリウムの測定を行うこと。なお、カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、カンレノ酸カリウム、トリアムテレン)の併用あるいはカリウムの過剰摂取を行わないこと。
B高血糖、尿糖等の膵機能障害の発現頻度が高い 特に服用しはじめた頃は、十分注意すること。
C心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心筋障害(心機能低下、壁肥厚を含む)等 プログラフを服用中に、心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心筋障害(心機能低下、壁肥厚を含む)等が認められているので、使用に際しては心電図、心エコー、胸部X線検査を行うなど、状態をよく観察すること。
D高血圧が発現することがある 高血圧が発現することがあるので、定期的に血圧測定を行い、血圧上昇があらわれた場合には、降圧剤治療を行うなど適切な処置を行うこと。
E感染症の発現又は増悪に十分注意すること 感染症の発現又は増悪に十分注意すること。
F感染病に感染しやすくなる。ガンの発生の可能性がある 過度の免疫抑制により感染に対する感受性の上昇、リンパ腫等の悪性腫瘍発生の可能性があるので、十分注意すること。
GB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎の再発の可能性 免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。肝炎ウイルスキャリアの患者にプログラフを投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。
H重症筋無力症では、定期的に胸腺腫の有無を確認すること 重症筋無力症では、胸腺非摘除例に使用する場合、本剤の投与開始前及び投与開始後において、定期的に胸腺腫の有無を確認すること。胸腺腫が確認された場合には、胸腺摘除等の胸腺腫の治療を適切に実施するとともに、治療上の有益性と危険性を慎重に評価した上で本剤を投与すること。(プログラフのの胸腺腫への影響は明らかになっていません。)
I副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)の減量ができる プログラフの投与により副腎皮質ホルモン剤(ステロイド薬)維持量の減量が可能であるが、副腎皮質ホルモン剤の副作用の発現についても引き続き観察を十分行うこと。

 

 

【飲み合わせ(併用しないこと)】

生ワクチン

・乾燥弱毒生麻しんワクチン
・乾燥弱毒生風しんワクチン
・経口生ポリオワクチン等

免疫抑制剤を服用中に免疫が低下し、生ワクチン接種により発症したとの報告がある免疫抑制作用により発症の可能性が増加する。
シクロスポリン

(サンディミュン、
ネオーラル)

シクロスポリンの血中濃度が上昇し、副作用が増強されたとの報告1)がある。なお、シクロスポリンよりプログラフに切り換える場合は、シクロスポリンの最終投与から24時間以上経過後に本剤の投与を開始することが望ましい。本剤とシクロスポリンは薬物代謝酵素CYP3A4で代謝されるため、併用した場合、競合的に拮抗しシクロスポリンの代謝が阻害される。
ボセンタン

(トラクリア)

ボセンタン(トラクリア)ボセンタンの血中濃度が上昇し、ボセンタンの副作用が発現する可能性がある。また、プログラフの血中濃度が変動する可能性があります。
カリウム保持性利尿剤

・スピロノラクトン(アルダクトンA)
・カンレノ酸カリウム(ソルダクトン)
・トリアムテレン(トリテレン)

高カリウム血症が発現することがあります。プログラフと利尿剤の副作用が相互に増強される。
【抗生物質】

・エリスロマイシン
・ジョサマイシン
・クラリスロマイシン

 

【アゾール系抗真菌剤】
・イトラコナゾール
・フルコナゾール
・ボリコナゾール等

 

【カルシウム拮抗剤】
・ニフェジピン
・ニルバジピン
・ニカルジピン
・ジルチアゼム等

 

【HIVプロテアーゼ阻害剤】
・リトナビル
・サキナビル
・ネルフィナビル

 

【その他の薬剤】
・ブロモクリプチン
・ダナゾール
・エチニルエストラジオール
・オメプラゾール
・ランソプラゾール
・トフィソパム
・アミオダロン

 

【飲食物】グレープフルーツジュース

本剤の血中濃度が上昇し、腎障害等の副作用が発現することがある。本剤血中濃度のモニターを行い、必要に応じ減量・休薬等の処置を行う。
テラプレビル テラプレビル750mg 1日3回8日間服用後、プログラフを併用したとき、プログラフのAUCが70倍に上昇したとの報告があります。本剤血中濃度のモニターを行い、必要に応じ減量・休薬等の処置を行う。
オムビタスビル

・パリタプレビル
・リトナビルオムビタスビル
・パリタプレビル
・リトナビル

1日1回服用後にプログラフを服用したとき、プログラフ4のAUCが86倍に上昇したとの報告がある。
【抗てんかん剤】

・カルバマゼピン
・フェノバルビタール
・フェニトイン

プログラフの血中濃度が低下し、拒絶反応出現の可能性がある。本剤血中濃度のモニターを行い、必要に応じ増量等の処置を行う。薬物代謝酵素が誘導され、本剤の代謝が促進される。
【飲食物】

セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品

プログラフの代謝が促進され、血中濃度が低下するおそれがあるので、プログラフ服用時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。
【不活化ワクチン】

インフルエンザHAワクチン等

ワクチンの効果を弱めることがあります

 

 

【重大な副作用】

 

@急性腎不全、ネフローゼ症候群 急性腎不全(0.1〜5%未満)、ネフローゼ症候群(0.1%未満)があらわれることがあります。クレアチニン、BUN、クレアチニンクリアランス、尿蛋白、尿中NAG、尿中β2ミクログロブリン等の臨床検査を頻繁に行って十分に観察することが重要です。異常が認められた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
A心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心膜液貯留、心筋障害:心筋障害(ST‐T変化、心機能低下、心内腔拡大、壁肥厚等 心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心膜液貯留、心筋障害:心筋障害(ST‐T変化、心機能低下、心内腔拡大、壁肥厚等、心不全、心室性あるいは上室性の不整脈、心筋梗塞、狭心症、心膜液貯留(各0.1〜5%未満)があらわれることがあるので、使用に際しては心電図、心エコー、胸部X線検査を行うなど患者の状態をよく観察し、異常が認められた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
B中枢神経系障害(可逆性後白質脳症症候群、高血圧性脳症等の中枢神経系障害) 可逆性後白質脳症症候群、高血圧性脳症等の中枢神経系障害(0.1〜5%未満)があらわれることがあるので、全身痙攣、意識障害、錯乱、言語障害、視覚障害、麻痺等の症状があらわれた場合には、神経学的検査やCT、MRIによる画像診断を行うとともに、本剤を減量又は中止し、血圧のコントロール、抗痙攣薬の投与等適切な処置を行うこと。
C脳血管障害:脳梗塞、脳出血等の脳血管障害 脳血管障害:脳梗塞、脳出血等の脳血管障害(0.1〜5%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、神経学的検査やCT、MRIによる画像診断を行うとともに、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
D血栓性微小血管障害 溶血性尿毒症症候群、血栓性血小板減少性紫斑病等の血栓性微小血管障害(0.1〜5%未満)があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
E汎血球減少症、血小板減少性紫斑病、無顆粒球症、溶血性貧血、赤芽球癆 汎血球減少症、血小板減少性紫斑病(各0.1〜5%未満)、無顆粒球症、溶血性貧血、赤芽球癆(いずれも頻度不明)があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
Fイレウス(腸閉塞) イレウス:腸閉塞(0.1〜5%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
G皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群) 皮膚粘膜眼症候群(頻度不明)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
H呼吸困難 呼吸困難、急性呼吸窮迫症候群(各0.1〜5%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。重症筋無力症ではクリーゼ(0.1〜5%未満注))を起こすことがあるので、使用に際しては患者の状態をよく観察し、このような症状があらわれた場合には、人工呼吸等の適切な処置を行うこと。
I感染症 細菌性、ウイルス性、真菌性あるいは原虫性感染症(15%以上)が発現又は増悪することがある。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎やC型肝炎の悪化があらわれることがある。
J進行性多巣性白質脳症(PML) 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)があらわれることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRI による画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
KBKウイルス腎症: BKウイルス腎症(頻度不明)があらわれることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
Lリンパ腫等の悪性腫瘍悪性腫瘍発現の可能性が高まる Epstein‐Barrウイルスに関連したリンパ増殖性疾患あるいはリンパ腫(0.1〜5%未満)(初期症状:発熱、リンパ節腫大等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。特に2歳未満の乳幼児例又は抗リンパ球抗体の併用例において、発現の可能性が高い。また、過度の免疫抑制により、悪性腫瘍発現の可能性が高まることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
M膵炎:膵炎 膵炎:膵炎(0.1〜5%未満)があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
N糖尿病、高血糖 糖尿病及び糖尿病の悪化(0.1〜5%未満)、高血糖(15%以上)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量・休薬等の適切な処置を行うこと。
O肝機能障害、黄疸 AST(GOT)、ALT(GPT)、 γ‐GTP、Al‐P、LDHの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うこと。

 

薬についての情報は、プログラフの添付文書より

 

★潰瘍性大腸炎で、プログラフを最長3カ月間投与した潰瘍性大腸炎患者137例(カプセル137例)での主な副作用・臨床検査値異常は、振戦(ふるえ)29.2%(40/137)、低マグネシウム血症16.8%(23/137)、ほてり、尿中NAG増加各13.9%(19/137)、感覚異常12.4%(17/137)、尿蛋白8.0%(11/137)、高血糖7.3%(10/137)、悪心6.6%(9/137)です。

 

詳しくはこちらを御覧ください

 

最後に・・・。

 

感染症から回復するためには免疫の働きが重要です。

 

細菌やウイルスなどの異物を敵と認識し、免疫が攻撃を仕掛けることによってようやく感染症から回復することができます。

 

ところが、免疫抑制剤で免疫を下げてしまうと、体にとって必要な免疫機能も弱まるため、ウイルスや細菌の侵入を防ぎにくくなります。
そのため感染症のリスクが高まり、軽いかぜがきっかけで死に至る可能性もあります。

 

人混みの多い場所への外出を控えたり、常にマスクをしていたりと、
生活する中で制限されることも多く、また、薬の副作用によって新しいがんが発生する不安もあります。

 

今、「免疫抑制」ではなく、「免疫寛容」という技術が注目を浴びています。

 

「免疫寛容」という技術を使って、卵アレルギーをわずか14日で治してしまったりという、
信じられない成果をあげています。

 

免疫抑制剤を飲む必要がなくなった人もいます。
さまざまに医療も進化しているのですね。

 

詳しくは、「免疫寛容」をお読みください。